「ここまでわかる!胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコー」シリーズ 第19回 食道カンジダ症(カンジダ性食道炎)

食道カンジダ症(カンジダ性食道炎)とは

 カンジダ菌はカビ(真菌)に分類される微生物です。

 カンジダ菌は健康な人の口の中にも住み着いている菌(常在菌と呼ばれます)の一種であり、通常は悪さをしません。

 ただし何らかの原因により体内環境のバランが崩れたり、免疫機能(体内に入り込んだ菌を排除するための機能)に異常が起こったりした際には、カンジダ菌が体内で異常に増殖することがあります。

 このようなカンジダ菌の異常増殖が食道内で起こった状態のことを「食道カンジダ症」と呼びます。

 通常は私達自身が口腔内に元々持っているカンジダ菌が、唾液などを嚥下した際に食道へと移行してくると考えられています。

 したがって、人から人へと感染するような病気ではありません。

 軽症食道カンジダ症は、健康診断の胃カメラで偶発的に見つかることの多い病気です。健常者の1~2%に見つかるとする報告もあります。

 このように軽症例の大半は健康な方(特に基礎疾患を持たない方)に起こります。

 カビが生えていると聞いて驚いた方もおられるかもしれませんが、軽症例は自然治癒することも多いため、基礎疾患がなく無症状であれば特に治療する必要はありません。

 一方で重症の場合(カンジダ菌がよりたくさん食道で増殖している場合)は、異物感(喉に何かが引っかかる感じ)、嚥下痛(飲み込むと胸や喉が痛む)、嚥下困難(食べ物が飲み込みにくい)といった訴えがみられます。ときに心窩部痛(みぞおちの痛み)や悪心・嘔吐を伴う場合もあります。

 重症食道カンジダ症では、高齢、糖尿病、癌、ステロイド等の免疫抑制薬の内服、などがリスク因子となります。心窩部から胸にかけて強い痛みがあり食事もとれない高齢者に胃カメラを実施したところ、食道粘膜全体にびっしりカンジダが生えていた、といった病歴が典型的です。

 治療には抗真菌薬を用います。当院では内服薬のフルコナゾールを用いることが大半です。1日1回の内服で良く、消化管からの吸収も良好です。体内に吸収された薬剤が唾液から再び分泌されるという性質があり、口腔・食道内での強い効果が期待できます。

 治療期間は2~3週間とされていますが、軽症食道カンジダであれば2週間で十分と思われます。

画像解説

画像は軽症~中等症の食道カンジダ症です。

細かな白い粒が食道粘膜に付着していると思いますが、その白い粒がカンジダ菌の塊です。

悪化すると食道全体が真っ白い苔状の膜に覆われるようになります。

内視鏡所見だけでも経験的に診断可能な場合が多いですが、確定診断のためには検体採取を行います。

生検鉗子を用いて食道粘膜ごと白い粒を採取し、顕微鏡検査と培養検査で菌の存在や薬剤耐性を調べます。

注意事項

注意事項1:本シリーズで取り上げる画像は全て当院で撮影したものです。検査画像の利用については、内視鏡検査前のアンケートで利用の可否を確認しています(腹部エコー検査に関してはオプトアウト方式をとっています)。

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