「ここまでわかる!胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコー」シリーズ 第6回 虚血性腸炎(大腸カメラ)

注意事項1:本シリーズで取り上げる画像は全て当院で撮影したものです。検査画像の利用については、内視鏡検査前のアンケートで利用の可否を確認しています(腹部エコー検査に関してはオプトアウト方式をとっています)。

注意事項2:患者様の善意によって成り立つ投稿です。本シリーズは疾患の啓発や若手医師の研鑽に役立つことを目的としています。画像の無断利用、転載は固くお断りします。削除依頼に応じて頂けない場合は法的手段を取ります。

画像の解説

虚血性腸炎(症状消失して改善傾向にある時期)
同じ患者さんの正常粘膜

第5回では虚血性腸炎のエコー像を取り上げましたので、今回は内視鏡像を取り上げようと思います。

当院では虚血性腸炎の診断は基本的にエコーで行っていますが、症状改善後に大腸内視鏡検査を行い虚血性腸炎以外の病気(大腸癌など)がないことを確認するようにしています。

左(または上)側の写真は病変部分、右(または下)側の写真は同じ患者さんの正常部分の画像です。

虚血性腸炎の内視鏡画像の特徴は、高度の浮腫(むくみ)、粘膜の色調変化(暗赤色調になりますが、この写真は発症から少し時間が経っているので色調はかなり改善しています)、粘膜表面のびらん(浅い傷)や出血、などになります。この写真では全周性に病変が広がっていますが、程度が軽いと腸管の走行に沿って何本かの帯状に病変が広がっていることもあります。

経験が浅いと癌と見間違うようなこともありますが、病変の広がり方や辺縁部分などの変化が軽いところをよく観察すると良性病変であることが分かります。