「ここまでわかる!胃カメラ、大腸カメラ、腹部エコー」シリーズ 第8回 胆管結石

注意事項1:本シリーズで取り上げる画像は全て当院で撮影したものです。検査画像の利用については、内視鏡検査前のアンケートで利用の可否を確認しています(腹部エコー検査に関してはオプトアウト方式をとっています)。

注意事項2:患者様の善意によって成り立つ投稿です。本シリーズは疾患の啓発や若手医師の研鑽に役立つことを目的としています。画像の無断利用、転載は固くお断りします。削除依頼に応じて頂けない場合は法的手段を取ります。

画像解説

 胆管と聞いても、体のどこにあるのか正確にイメージできる人は少ないかもしれません。胆管は肝臓と十二指腸(胃の先にある腸のこと)とをつなぐ、太さ数ミリ程度の細い1本の管です。肝臓で作られた胆汁と呼ばれる消化液を十二指腸まで運ぶ役割を担っています。途中に一か所枝分かれがあり、その先には胆嚢と呼ばれる袋が付いています。この袋は胆汁を保管しておくことが役割で、十二指腸に食物が流れてくると胆嚢は収縮し、溜めていた胆汁を十二指腸へ流し込みます。

 一般的に胆石は胆嚢の中に出来ます。胆嚢中で浮いているだけであれば無症状のことが多く、症状のない胆嚢結石は治療対象になりません。しかしこの結石が胆管の中に落ち込んでくると、胆管結石と呼ばれるようになり、こちらは急いで治療する必要があります。というのも、胆管結石は胆管の出口付近の狭い場所でつまり、胆汁の流れをせき止めてしまうことがあります。すると胆汁が胆管の中に溜まってしまうので、胆管は急速に引き延ばされて激痛が生じます。強い痛みは吐き気を伴うことも多く、胆管がつまった瞬間に1,2回の嘔吐が見られることもあります。胆汁が肝臓まであふれてくると肝障害を引き起こし、さらに血液中にまで胆汁があふれてくると黄疸を生じます(胆汁が黄色いため、皮膚や粘膜・尿まで黄色くなります)。さらにさらに、流れが悪くなった胆管に感染が生じると、急性閉塞性化膿性胆管炎と呼ばれる重篤な感染症を合併することもあります。

 写真A,Bは肝臓から出てきた胆管の一部を映しています。グリーンの四角で囲まれた中にあるカラフルな領域は血管を表しています。2つのカラー部分に挟まれた黒い横長の帯が胆管です。この方の胆管は軽度拡張していますので、通常よりは見やすくなっています。Bで黄色く囲ったように、黒い胆管の中に見える白っぽい領域が胆管結石です。複数の結石が胆管内に溜まっていることが分かります。