結局どの肺炎球菌ワクチンを接種すればよい?~新規肺炎球菌ワクチンの登場を受けて~
目次
- はじめに
- そもそも肺炎球菌とは
- 肺炎球菌の血清型とは
- 抗体とB細胞、T細胞の関係について
- 旧世代肺炎球菌ワクチンと新世代肺炎球菌ワクチン
- ワクチンの名前に付いている数字の意味
- 乳幼児に対するPCV接種がもたらした血清型カバー率の変化(流行菌種の変化)
- 高齢者に接種可能な肺炎球菌ワクチンの現状と当院の推奨
- 補足:PCV15とPPSV23の連続接種について
1.はじめに
近年、新規肺炎球菌ワクチンの開発が相次いでいます。特に2022年からは毎年のように新規ワクチンが発売されており、医療従事者でも混乱しがちです。
そこで頭の中を整理するため、まず国内で承認された肺炎球菌ワクチンを承認年の順にまとめると以下のようになります。
1988年:PPSV23(ニューモバックス:MSD)
2009年:PCV7(プレベナー7:ファイザー)
2013年:PCV13(プレべナー13:ファイザー)
2022年:PCV15(バクニュバンス:MSD)
2023年:PCV20(プレベナー20:ファイザー)
2025年:PCV21(キャップバックス:MSD)
これらのうち、2026年1月現在も現役で使用されているのは太文字で表したPPSV23とPCV15、PCV20、PCV21の4種になります。
1つの細菌に対するワクチンが何種類もあり、しかも名前も似通っているなんて、あえて混乱させようとしているとしか思えないほどです。
今回の投稿では、私自身への備忘録、看護師や研修医の勉強、肺炎球菌ワクチンの打ち方について悩んでいる一般の方への解説として、各肺炎球菌ワクチンの特徴につき書いてみました。
(本投稿は2025年7月4日版の「成人用肺炎球菌感染症ファクトシート」や2025年9月30日版の「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」などを参考にしています。)
2.そもそも肺炎球菌とは
肺炎球菌は健康な人の鼻腔や咽頭に見つかることもある菌です。このような場合、肺炎球菌は特に症状を引き起こさず、私たちと共生しています。
しかし、肺炎球菌が本来の住みかである鼻腔・咽頭以外の部位に侵入すると、様々な悪さをすることがあります。比較的軽症の感染症としては、鼻腔・咽頭に近い場所で起こる副鼻腔炎や中耳炎がよく知られています。
一方で、血液や髄液に菌が入り込んだ場合には重症化しやすく命に関わることもあるため注意が必要です(侵襲性肺炎球菌感染症と呼ばれます)。代表例は「菌血症を伴う肺炎(重症の肺炎と考えて下さい)」や「髄膜炎」です。これらを発症すると入院治療が必要となり、とくに高齢者や免疫機能が低下している方では死亡リスクも高くなります。小児では髄膜炎が、高齢者では肺炎が問題になりやすいことが知られています。
さらに肺炎球菌は市中肺炎(ご家庭で健康に暮らしている方がかかる肺炎)の原因菌の約20%を占め、主要な原因菌の一つとされています。長崎県五島市における調査では、毎年およそ440人に1人が肺炎球菌による肺炎にかかると報告されています。誰もが肺炎球菌性肺炎を発症するリスクがあることがわかると思います。
肺炎球菌は、保菌者(無症状の方も含め、鼻腔や咽頭に菌を保有している人を指します)が咳をしたり、くしゃみをしたりすることで飛び散る「飛沫」によりヒトからヒトへと感染します。感染予防にはマスクをしたり、こまめに手洗いをしたり、密な接触を避けることが重要です。どこかで聞いた感染予防法ですが、実際新型コロナウイルスのパンデミックにおいて、肺炎球菌感染症は大きく減少しました。しかしコロナ後に社会が正常化するにつれ、肺炎球菌感染症は再び増えてきています。
以上のように、肺炎球菌感染症は高齢化が進む日本社会において、医療および介護に大きな負担をもたらす疾患です。そのため、個々の患者の重症化を防ぐとともに、入院や医療費の増加を抑制することが世界的な課題となり、肺炎球菌ワクチンの開発と普及が進められてきました。
3.肺炎球菌の血清型とは
肺炎球菌ワクチンについて学ぶためには、予備知識がいくつか必要です。まず知るべきは肺炎球菌の血清型です。
肺炎球菌の表面はネバネバした分厚い膜で覆われています。この膜は「多糖体」という物質からなり、「莢膜」と呼ばれます。莢膜があることで肺炎球菌は主要な白血球である好中球から攻撃を受けにくくなります。
さらに莢膜の構造には多くの種類があり、これを血清型(あるいは莢膜型)と呼びます。その数は何と97種類にも及びます。私達の体は「莢膜」を介して肺炎球菌を認識するために、莢膜の構造が異なると同一の菌として認識出来なくなります。
このため、ある血清型の肺炎球菌に感染して免疫を獲得しても(その血清型の菌には感染しなくなっても)、別の血清型の肺炎球菌には感染してしまいます。
4.抗体とB細胞、T細胞の関係について
さて、2番目に必要な予備知識は免疫の仕組みです。ただし、免疫とはとても複雑なシステムですので、最低限の解説のみ行います(正確性よりも分かりやすさに重点を置いた解説になりますので、ところどころ不正確な表現もあることをお許しください)。
前述のように肺炎球菌ワクチンは莢膜によって守られており、好中球による攻撃を受けにくいという特徴があります。
このため、肺炎球菌を排除するには、「抗体」と呼ばれる特殊兵器が必要になります。抗体は、肺炎球菌の莢膜を認識し、これと結合します。詳細は割愛しますが、これにより好中球は菌を認識しやすくなり、活発に菌をやっつけるようになります。
この抗体を産生するのはリンパ球の一種である「B細胞」です。ただしB細胞が当初産生する抗体は力が弱く、また数もそれほど多量には作れません。肺炎球菌としっかり戦うにはB細胞が成熟して「形質細胞」へと変化する必要があります。
形質細胞はより強力な抗体を多量に作ることが出来ます。しかしこの細胞は短命ですので、現に肺炎球菌に感染している時には有用ですが、将来の再感染に備えることが出来ません。
そこで一部のB細胞は形質細胞ではなく「メモリーB細胞」と呼ばれる非常に長寿命の細胞へと変化し、将来の再感染に備えて休眠します。同じ血清型の肺炎球菌に再感染した場合には、メモリーB細胞はすばやく再起動し、抗体産生細胞へと変化します。
以上のようにB細胞が形質細胞やメモリーB細胞などへと変化する「B細胞の成熟」は免疫反応において非常に重要な過程ですが、この過程には別種のリンパ球である「ヘルパーT細胞」の助けが不可欠とされています。
したがってB細胞を活性化させつつ、ヘルパーT細胞にも働いてもらうことが、ワクチンの効果に大きく影響します。
5.旧世代肺炎球菌ワクチンと新世代肺炎球菌ワクチン
以上で長い前置きが終わりました。ようやく肺炎球菌ワクチンに関する本題に入れます。
まずおさらいとして、私達の体が肺炎球菌を排除するためには、莢膜に対する「抗体」が必要でした。
従って肺炎球菌ワクチンも、抗体を産生することを目的としています。
すなわち、肺炎球菌の莢膜の一部を体に投与し、B細胞を活性化して抗体を作る、というのがワクチンの作用になります。
この時投与されるのが「莢膜の一部そのもの」か「莢膜に特殊なタンパク質を結合させたもの」かによって、肺炎球菌ワクチンは大きく2つに分けることが出来ます。
「莢膜の一部そのもの」を投与するのが旧世代型のワクチンで、PSSVという略語で表記されます。
このタイプのワクチンはB細胞に働きかけて抗体を産生させます。接種後しばらくは十分な量の抗体が産生されるため、重症の肺炎吸気感染症を予防し、入院を減らす効果があります。
しかし、PSSVはヘルパーT細胞には働きかけないため、B細胞は成熟せず、メモリーB細胞も作られません。
この結果、PSSVによる効果は長続きせず、高齢者に接種した場合、5年ほどでその効果がなくなってしまいます。また、産生される抗体の質にも問題があり、粘膜には作用しないため、鼻腔や咽頭で私達と共生している肺炎球菌を排除することも出来ません。
さらに免疫機能の未熟な乳幼児では、B細胞単独に働きかけるだけでは十分な抗体が産生されないため、PSSVは乳幼児には無効です。
そこで高齢者に対する効果が長期間持続し、乳幼児における重症感染症も予防できるワクチンを目指して、B細胞だけではなくヘルパーT細胞にも働きかけるワクチンの研究が行われました。
その結果開発されたのが、「莢膜に特殊なタンパク質を結合させたもの」である新世代肺炎球菌ワクチンであり、PCVという略語で表記されます。PCVはB細胞と同時にT細胞にも働きかけ、メモリーB細胞を産み出すことで長期に効果を保ちます。
このため、旧世代のPSSVが5年ごとの接種を推奨されているのに対し、新世代のPCVは1回のみの接種で良いとされています(乳幼児においては複数回必要です)。
また、PCVにより産生される抗体はより良質なもののため、鼻腔や咽頭の肺炎球菌も排除することが出来ます。
さらにヘルパーT細胞がB細胞の成熟を促すため、乳幼児に接種しても十分な抗体を産生することが出来ます。
6.ワクチンの名前に付いている数字の意味
前述のように肺炎球菌の莢膜は90種類以上存在しており、非常に多様です。
ワクチンにより産生される抗体は、それぞれの莢膜を個別に認識しますので、全ての肺炎球菌に対する免疫をつけようと思えば、ワクチンは90種類以上もの抗体を産生する必要があります。
しかし実際には、市販されている肺炎球菌ワクチンは多くても二十数種類の莢膜に対する抗体しか産生しませんし、それで十分なのです。
その理由は大きく2つあります。
第1の理由は流行状況の差です。
莢膜の種類(血清型)ごとに、日本国内で検出される割合には差があります。つまり流行している型とそうでない型がある訳です。すると、日本国内でほとんど検出されないような菌に対する抗体まで持っておく必要性はないということになります。
ワクチンが、ある場所で流行している血清型のうち何%に有効かを表す数値を「血清型カバー率」と言います。
第2の理由は病原性の差です。
血清型ごとに、「重症化率」や「薬に対する感受性」は異なります。つまり、感染しても軽症に留まるような菌に対する抗体まで持っておく必要はないということになります。
以上より、血清型カバー率が高く、その中に臨床的に重要な菌を含んでいることがワクチンには求められます。
本投稿の最初に例示したワクチン(PSSV23、PCV7、PCV13、PCV15、PCV20、PCV21)は全て名前の後ろに数字を含んでいます。勘の良い方なら既にお気付きと思いますが、この数字はそれぞれのワクチンが対象にしている血清型の数になります。
最初に開発されたPCVは7種類の血清型の菌しか予防できませんでした。年代と共にカバーできる菌の種類が増え、最新のPCVは20または21種類の肺炎球菌を予防できるようになっています。一方でPSSVは23種類の肺炎球菌に対する予防効果があり、これが新世代型であるPCV発売後も旧世代型のPSSVが廃れなかった理由の1つになります。
7.乳幼児に対するPCV接種がもたらした血清型カバー率の変化(流行菌種の変化)
日本におけるPCVの接種は、まず小児に対して実施されました。
2010年にまずPCV7に対する公費助成が開始され、2013年からは定期接種として無料になっています。その後徐々にカバーできる血清型は増え、現在は小児に対しては原則としてPCV20が用いられています。
小児に対するPCV7の接種が開始されると、小児の肺炎球菌による髄膜炎は激減しました(7割ほどの減少)。さらに興味深いことに、成人の肺炎球菌感染症においても、PCV7がカバーする菌種による割合が大きく低下しました。
これは元々、小児と成人の間で菌をうつし合っていたものが、小児のところで完全に菌をブロックできるようになった(鼻粘膜や咽頭の常在菌を排除できるようになった)ため、いわゆる集団免疫によりPCV7がカバーする菌が成人にも感染しなくなったためと考えられています。
しかし成人における肺炎球菌感染症(主に肺炎)はそれほど減りませんでした。というのも、PCV7がカバーしない菌による肺炎が増えてしまったためです。
イタチごっこのようなものですが、流行する菌の種類が変化したため、65歳以上の重症肺炎球菌感染症に対する各ワクチンの血清型カバー率は以下のように変化してしまいました(参照元サイトはこちら)。
| 血清型カバー率の変化 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| PPSV23 | PCV7 | PCV13 | PCV15 | PCV20 | PCV21 | |
| 2013-15年 | 68% | 11% | 45% | 55% | 69% | 79% |
| 2016-18年 | 64% | 8% | 30% | 36% | 64% | 79% |
| 2019-21年 | 53% | 9% | 27% | 32% | 53% | 75% |
| 2022-24年 | 51% | 6% | 29% | 35% | 50% | 78% |
PCV7(プレベナー7)のカバー率が元々低いのは、小児における重症感染症(主に髄膜炎)を引き起こしやすい血清型を優先してカバーしているためです(ワクチン導入当初、小児の重症感染症に対するPCV7のカバー率は60%を越えていたと言われています)。PCV7、PCV13、PCV15、PCV20は小児にとって重要な血清型を残しつつ、よりカバー率をPSSV23に近付ける方向で対象とする血清型を増やしてきました。しかし小児に用いられるPCVがカバーする血清型の流行が減少するにつれて、これらのワクチンのカバー率も低下してしまっています。
一方で最後発のワクチンであるPCV21の血清型カバー率はほぼ低下していません(実際には2024年以前にはこのワクチンは存在していませんが、仮に存在していたとすると高いカバー率を誇っていたというのが上記の表の意味です)。これはこのワクチンがこれまでのワクチンとは大きく方針転換して、成人の重症感染症(主に肺炎)をメインターゲットとし、特に最近の流行状況を加味してカバーする血清型を大きく入れ替えたためです。
8.高齢者に接種可能な肺炎球菌ワクチンの現状と当院の推奨
高齢者がワクチンを接種する際、日本には「定期接種」と呼ばれる公費補助制度があります。さらに定期接種はA類とB類とに分かれており、A類は費用が全額補助される(無料になる)ものであり、B類は費用の一部が補助される(概ね半額程度になることが多い)ものです。その他、市町村が独自の補助制度を設けていることもあるので、ワクチン接種を考えている方は一度お住いの市のホームページを確認されるといいと思います。
一方で公費による補助を受けず、全額を自分で払うワクチンの受け方は「任意接種」と呼ばれています。ただ、この「任意」という言葉は行政の側から見た都合の良い言葉で、私はとても嫌いです。任意と聞くと、「必要性が薄いんじゃないか」「受けなくてもいいんじゃないか」「安全性に問題があるんじゃないか」「効果が薄いんじゃないか」といったネガティブなイメージ、あるいは「打ちたいんだったら好きにどうぞ」といった突き放すようなイメージが含まれているように感じないでしょうか?実際は多くのワクチンの医学的有用性は明確で、接種が強く推奨されるものばかりです。任意接種になる理由の最大のものは行政の予算的な制限です。もう少し医療・患者サイドに立った言葉の選択が必要ではないでしょうか?
・・・少し脱線しましたが、肺炎球菌ワクチンは定期接種のB類に分類されています。インフルエンザワクチンや帯状疱疹ワクチンと同様に、費用の一部のみが補助されます。さらに注意が必要なのは肺炎球菌の定期接種が受けられるのは、その年度内に65歳になる方のみです。
少し前まで、70歳や75歳、80歳など5で割り切れる年齢の人も受けることが出来ていましたが、これは肺炎球菌ワクチンが定期接種に組み込まれた際、既に65歳を越えていた人を救済するための時限措置であり、すでに終了しています。
また、定期接種として肺炎球菌ワクチンを受けることが出来るのは、一生のうち一回のみです。つまり、公費補助を受けて安くワクチンを受けられるのは65歳になる年度のみ、ということになります。
さて、現在高齢者に接種可能な肺炎球菌ワクチンは3種類あります。PSSV23、PCV20、PCV21の3つです。
これらを比較すると以下の表のようになります。価格は当院における価格です。
| 肺炎球菌ワクチンの比較 | |||
|---|---|---|---|
| PPSV23 | PCV20 | PCV21 | |
| 商品名 | ニューモバックス | プレベナー20 | キャップバックス |
| 抗体の質 | 良 | 優 | 優 |
| 持続期間 | 短期間(約5年) | 長期間 | 長期間 |
| 接種回数 | 5年毎にずっと | 1回のみ | 1回のみ |
| 2022-24年の血清型カバー率 | 51% | 50% | 78% |
| 1回あたりの価格(任意接種の場合) | 7700円 | 11550円 | 13750円 |
| 1回あたりの価格(定期接種の場合) | 4000円 | 対象外 | 対象外 |
純粋なワクチンの効果を比較すると、持続期間の長さ、血清型カバー率の高さからは、現時点(2026年1月)ではPCV21(キャップバックス)が最も優れているように思われます。
しかし価格面ではPCV20、PCV21はいずれも定期接種の対象にはなっておらず、65歳で定期接種が選択肢に入る方にとっては、安価で打てるPSSV23との差は大きく見えるのではないでしょうか。
ただしPSSV23が5年ごとに何度も接種が必要なことを考えると、1回だけの接種で良いPCV20やPCV21の方が、総額としてみれば価格面でも優れていると言えるかもしれません。
こういった費用面での負担感は、厚労省がPCVも高齢者の定期接種の対象に含めてくれれば大きく軽減されます(仮に含めてくれても、おそらく同額にはならないと思います)。
是非国の対応を期待したいところであり、実際にそういった声も大きいのか、厚労省の委員会の動きなどを見ると、今後少なくともPCV20は早期に(2026年中に?)定期接種に追加されそうな気配です。高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの公費補助の仕組みはちょうど今が過渡期にあり、おそらくここ数年で大きく変化すると思われます。
以上のように、価格のことを考慮すると一概にお勧めは決められませんが、効果のみを考慮するなら高齢者の肺炎球菌ワクチンとしてPCV21(キャップバックス)の1回接種を私は推奨します。
9.補足:PCV15とPPSV23の連続接種について
肺炎球菌ワクチンの接種スケジュールは、上記表に挙げたようなPSSV23の5年毎接種、またはPCVの単回接種が基本です。
一方で、2012年から米国ではPCVとPPSVの連続接種が広く推奨されてきました(現時点での推奨はPCV15、PCV20またはPCV21のどれかとなっており、私の英語力では文脈的にはPCV21が最も推奨されています)。
現在の日本のガイドラインでも、PCV15-PPSV23による連続接種が推奨の中に含まれています(ニュアンスとしては「選択肢に含めても良い」とするものです。)
このように、PCVとPSSVを連続して接種するという方法に一定の支持があることは事実です。
で、この連続接種とは何なのか、ですが。PCV15を接種してから1~4年後にPPSV23を接種すると、PCVの効果をより高めることができるというものです(ブースター効果と言います)。ちなみにPSSVの後にPCVを接種してもこの効果は得られませんので、順番が大事です。また、早すぎるタイミングはこの効果を弱めることが報告されており、タイミングも重要です。
2022年に発表された韓国における研究によると、連続接種の方がPCV15単独やPPSV23単独よりも高い肺炎予防効果を示したとされています。ただしこの研究はいわゆる二重盲検試験ではなく、試験陰性デザインという簡易的な方法でワクチンの効果を評価しています。また、 65歳から74歳においては効果が見られたものの、75歳以上では効果は見られなかったとされています。
選択肢の一つとしては考慮される接種方法ですが、PCV20やPCV21が利用可能な現在、これがベストな方法かは不明です。
費用対効果や患者さんの負担を考慮すると、現時点の高齢者に対する推奨としてはPCV21の単回接種ではないかと私は思っていますので、当院では連続接種は取り扱っておりません。
今後PCV20とPSSV23の連続接種や、PCV20やPCV21の複数回接種について、十分なエビデンスが揃った際には記事をアップデートしたいと思います。
