「ここまでわかる!胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコー」シリーズ 第14回 水腎症
水腎症とは
腎臓で作られた尿は、尿管という細い管を通って膀胱にたまり、膀胱から尿道を通って体の外に出ていきます。この通り道のどこかが詰まると、尿がうまく流れずにたまってしまい、尿管や腎臓がふくらんでしまいます。
特に腎臓から尿が出ていく部分(腎盂と呼ばれます)はふくらみやすく、腎盂がふくらんだ状態を「水腎症」と呼びます。
原因は多岐に渡りますが、大人では尿管結石や腫瘍による閉塞が多く見られます。
症状がないこともありますが、結石が原因のときは激しい痛みを感じることが大半です。
腹部エコー、CT検査、MRI検査など、各種画像検査で診断が可能です。特に腹部エコー検査は簡便かつほぼ100%の確率で水腎症を診断出来ますので、水腎症を疑った場合はまず実施するべき検査です。
ただし水腎症の原因を調べるには、エコー以外の検査も必要になることが大半です。
治療は原因に応じて行われますが、感染を伴うと急に悪化して高熱が出ることがあり、緊急の対応が必要になる場合もあります。
水腎症の画像


正常な腎臓では、腎盂はほとんど指摘できないくらいに「しぼんで」見えます。
しかし水腎症では腎盂は明らかに拡張しているため、診断は容易です。
ただし初心者は腎盂と血管とを見間違えてしまうことがあるため、ドップラーエコーで血流がないことを(色が付かないこと)を確認するとよいと思います。
注意事項
注意事項1:本シリーズで取り上げる画像は全て当院で撮影したものです。検査画像の利用については、内視鏡検査前のアンケートで利用の可否を確認しています(腹部エコー検査に関してはオプトアウト方式をとっています)。
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