五月病を疑ったら

五月病とは

3月と4月は出会いと別れの季節です。これを読んでおられる皆さんの中にも、入学や就職、あるいは転勤や部署移動などを切っ掛けに新たな環境での生活をスタートされたという方も多いのではないでしょうか?

ただし慣れない環境での生活は、気付かないうちにストレスをため込んでしまいやすいものです。特に普段から几帳面で真面目であったり、責任感の強かったりする人などでは、無理を重ねてしまった結果、ちょうど5月の連休明け頃に心身の不調を感じるようになってしまうことがあります。これがいわゆる「5月病」です。

医学的には新しい環境や人間関係にうまく適応できないことによる体調不良として「適応障害」とも呼ばれます。 昔は新入生や新社会人に多い症状と考えられていましたが、現在は部署移動を契機とした中高年の方の5月病も増えていると言われていますので、年齢に関わらず注意が必要です。また5月病は心の風邪のようなものです。これまでエネルギーに溢れているような元気な方でも急に5月病になったりすることがあります。心身の不調を感じられた時は、遠慮なく医療機関へ相談するようにして下さい。

どんな時に五月病を疑うか

5月病、つまり適応障害の方には

  • 疲れやすい
  • やる気が起きない/気分が落ち込む
  • 眠れない
  • 頭痛
  • 食欲不振/腹痛/下痢や便秘

などの症状がみられることがあります。

特にこれらの症状のため実際に仕事や勉強、家事などに支障が出ていたり、症状が2週間以上続いていたりするようなら、医療機関への受診を考えてもいいと思います。

五月病への対処法

まずはストレスと上手につきあう自分なりの方法を見つけることが大事です。

ストレスはどんな方にも必ずあるものです。無理をせずに十分な睡眠・休息をとるように心がけましょう。新しい環境でこれまでのやり方が通用しないこと、失敗することはいわば当たり前です。深刻に物事をとらえ過ぎず、気を楽に持つことが大事です。

そのうえで生活のリズムを整え、適度に運動し、趣味などに打ち込むことでストレスを解消しましょう。

また同僚や上司、家族などに相談をして、悩みを一人で抱え込まないようにすることも有効とされています。

五月病で医療機関を受診してもいいの?

いわゆる「5月病」であっても、放置して悪化すると「うつ病」へと進行してしまう危険性があります。あまり知られていませんが、うつ病は生死にかかわる重大な疾患です。というのも、うつ病が悪化すると自殺によって命を落としてしまう可能性があります。ご自身の精神の健康を保つことは非常に重要です。

特に前項に挙げたようなストレスへの対処がうまく出来ない方は要注意です。是非遠慮なく医療機関を受診してください。

また、どこのクリニックを受診したらよいかお悩みの方もおられるかもしれません。一般的には心療内科や精神科が対応する疾患ですが、もしこういった診療科を受診することに抵抗があるようでしたら、当院のように5月病の方の相談に乗っている内科もたくさんあります。一度お近くの内科に問い合わせてみることをお勧めします。

五月病の治療

五月病の中でも「うつ病」に近いような重症の場合は当院から心療内科を紹介しますが、比較的軽症の五月病であれば、軽い抗不安薬や症状に応じた対症療法のみで自然と軽快することもよくあります。

特に当院は内科の中でも「お腹」を得意とするクリニックですので、ストレスを原因とする腹痛や吐き気、便秘や下痢の方は普段からよく診ています。もし5月病を疑うような心身の不調にお困りであれば、遠慮なくご相談ください。不眠や倦怠感などのご相談にも対応させて頂きます。