ワクチンの効果について
はじめに
本日の投稿はワクチンの効果についてです。
「ワクチンを打っていても感染する人がいるから、ワクチンなんて打っても意味がない」という意見について、どのように考えればよいのか図を使ってお答えしたいと思います。絵心のなさは許して下さい。
出来るだけ新型コロナウイルス以外のワクチンについても当てはまるよう、一般化した内容をお伝えしたいと思います。
また、ワクチンを打つ目的には「感染予防」と「重症化予防」の二つがありますが、この投稿では主に「感染予防」についてお伝えします。
ワクチンの効果は確率的なもの
さて、ワクチンの「感染予防」効果は多くの場合「感染の確率を下げる」という少しあやふやなものです。中には感染を100%予防できるような(例:天然痘ワクチン)非常に強力なワクチンも存在しますが、それらは例外です。
そもそも天然痘ワクチンが100%近い感染予防効果を持つのは、天然痘ウイルス自体に「一度このウイルスに感染すると二度と感染しなくなる」という特徴があったためです。
ワクチンは元のウイルスの劣化コピーなので、元のウイルスに出来ないことはワクチンにも出来ません。したがって繰り返し感染するウイルスであるインフルエンザウイルスやコロナウイルスに対するワクチンには、100%の感染予防効果は期待できません(よほどの技術革新がない限りは難しいと思います)。
ワクチンの効果をイメージする
では、ワクチンに効果はないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。ワクチンの効果は「金網」と「ボール」に例えると分かりやすいと思います。
図1を見て下さい。ボールをウイルス、金網をワクチンの効果と思って下さい。
図1の下段は効果の高いワクチンで、その効果を目の細かな金網に例えています。御覧のように、あなたに向かって飛んできたボールをほぼ弾き返すことが出来ます(高確率で感染を防げます)。オミクロン株が流行するまで、新型コロナワクチンの効果はこれに近いイメージでした
一方で図1の上段は効果の低いワクチンで、その効果を目の粗い金網に例えています。あなたに向かって飛んできたボールを弾き返せることもありますが、一部はすり抜けてしまうでしょう。つまり、「感染の確率を下げる」ことは出来るものの、長時間何度もボールを投げ込まれると(いわゆる三密の環境に長時間さらされ続けると)、感染を防ぐことは難しくなります。もちろん金網が何もない状態(ワクチン未接種)に比べれば感染リスクは下げられますが、リスクをゼロには出来ないのです。
次に図2を見て下さい。
こちらでは「ウイルスの変異前後での違い」を図でイメージしてみました。
上段が変異前のウイルスです。ウイルスが大きい(感染力が低い)ため、図の金網で十分にウイルスをはじくことが出来ます。
しかしボールが小さくなると(ウイルスが変異して感染力が増すと)、同じ金網(同じワクチン)でも、すり抜けるボールが増えてきます(下段)。この場合でも一部のボールは金網で弾くことが出来るのですが、全てのボールを弾くことは出来なくなります。
これがオミクロン株が流行した理由です。
金網が何もない状態(ワクチン未接種)に比べれば、感染リスクは低いのですが、リスクをゼロには出来ないため、ウイルスに暴露すると一定の確率で感染することになります。
新型コロナワクチンの3回目接種・4回目接種をお勧めします
ワクチン接種後に感染した人は目につきやすいのですが、ワクチンによって感染を免れた人を認識することは困難です。そのため、「ワクチンを打っていても感染する」という事実のみが一人歩きしているような印象を受けます。
新型コロナワクチンには一定の感染予防効果、高い重症化予防効果が存在しています。3回目・4回目接種は言うなれば緩んできた金網を張り直す作業です。対象となる方で、ワクチン未接種の方は是非接種を検討して下さい。