1.新型コロナウイルスに
対する当院の方針
2023年も後半になり、新型コロナウイルスの病原性は以前と比較して大きく低下しました。実際に2023年夏季における流行においても関西圏の医療が逼迫することはなく、社会に対する影響は限定的でした。
これを受けて当院では新型コロナウイルスのみを特別視するのではなく、新型コロナウイルスを含めた感染症全体に対する当院の対応方針を定めることにしました。というのも、ウイルス性胃腸炎やインフルエンザなどの新型コロナウイルス以外の感染症でも、高齢者や免疫力の落ちている方では重症化することがあるからです。
みなさんに安心して受診して頂くため、以下のようなルールを設けることにしました。
2.当院受診にあたってのお願い
- 院内の全ての方にマスクを着用していただきます。マスクの着用に同意いただけない場合、診療をお断りすることがあります。
- 「クリニックに入られる時」と「クリニックから出られる時」に手指消毒をお願いします。
- 発熱・咽頭痛・咳・下痢などの症状がある方には、院内入って右手にあるブース型の待合に入っていただきます。一般外来の方とは待機場所を分けます。
- 発熱・咽頭痛・咳などの症状が10日以内に出現した方には、新型コロナウイルスの検査を受けることをお願いしています(強制するものではありません)。下痢が主症状の方はこの限りではありません。
- 熱・喉の痛み・咳がある方が新型コロナウイルスの検査を受けられない場合、マスクを外す必要がある咽頭や口腔の診察はお断りしています。ただし症状をお伺いして、それに応じた薬を処方することは可能です。
- 検査の結果、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスが陽性となった方は、検査後屋外(ビル東側の非常階段下)でお待ちいただきます。医師から電話で説明のうえ、症状に応じた薬を処方いたします。陰性の方には院内で診察を行います。
- すでに新型コロナウイルスやインフルエンザと診断されている方が受診を希望される場合、発症後1週間はオンライン診療での受診をお願いしています。1週間後からは一般外来で受診していただいて構いません。
- 院内滞在時間を短縮するため、WEB問診の事前入力や予約時のクレジットカード登録にご協力をお願いします。
3.新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスに対する検査について
当院では新型コロナウイルスに対するPCR検査、新型コロナウイルスのみに対する抗原検査、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に調べる抗原検査の3種類を実施しています(インフルエンザ単独の抗原検査は実施していません)。以下の記述を参考に、どの検査を受けるかお決め下さい。
3-1.当院で実施している検査
①PCR検査
一般的に「PCR検査」と呼ばれている検査は正式名称を「核酸増幅検査」と言います。核酸増幅検査にはRT-PCR法、LAMP法、NEAR法などいくつかの種類が存在しますが、当院はNEAR法(Nicking Enzyme Amplification Reaction法)を自院で実施しています(Abbott社のID NOWという検査機器を利用しています)。外部検査機関に提出する必要がないため、検体採取後10分以内に結果を確認することが出来ます。
NEAR法は、発症から10日以内であれば代表的な核酸増幅検査であるRT-PCR法と同等の精度が見込まれています。また、厚生労働省からもRT-PCR法と同等の検査として承認が得られています。海外渡航時の陰性証明としても利用可能です(少なくとも米国や中国渡航における陰性証明として問題なく利用して頂いています)。
②抗原検査
新型コロナウイルスに対する抗原検査は季節を問わずに実施可能です。概ね15分以内に結果が判明しますが、特に陽性の場合は5分以内に結果が判明することが大半です。PCR検査と比較して精度に劣るとされていますが、しっかりとした症状のある方に対しては、ほぼPCR検査と遜色ない精度があると感じています(症状が軽い方はPCR検査がお勧めです)。
新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスに対する同時抗原検査は1度の検体採取で同時に2つのウイルスをチェック可能です。判定に要する時間も変わりません。
PCR検査と抗原検査の比較表
新型コロナウイルスに対するPCR検査 | 新型コロナウイルスに対する抗原検査 | 新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスに対する同時抗原検査 | |
---|---|---|---|
検体採取から結果判明までの時間 | 5-10分 | キットによるが15分以内(陽性の場合は5分以内に判明することが多い) | キットによるが15分以内(陽性の場合は5分以内に判明することが多い) |
推定感度※ | 80%前後 | 60~70% | 60~70% |
推定特異度※ | ほぼ100% | ほぼ100% | ほぼ100% |
費用(2023年10月1日時点での診察料や各種加算を含んだ費用です。ただし薬代は含みません) | 診療内容によって変わりますが、3割負担の方で総額3,450円~4,180円 | 診療内容によって変わりますが、3割負担の方で総額2,230円~2,960円 | 診療内容によって変わりますが、3割負担の方で総額2,590円~3,320円 |
3-2.受診方法
2023年10月から予約なしで来られた方についても随時検査を実施いたします。ただし予約の方が優先になりますので、混雑時には1時間以上の待ち時間が発生することが予想されます。またブースが全て埋まっている場合には、外でお待ちいただく可能性もあります。出来るだけWEBまたは電話で予約をお取りください。
3-3.診断後
診断後は症状に応じた薬を処方します。また当院では新型コロナウイルスに対する各種抗ウイルス薬の処方も行っています。
抗ウイルス薬は新型コロナウイルスの増殖を抑える薬です。このためウイルスが増えた後に飲んでも効果は出にくく、発症から数日以内(できれば3日以内)に内服を始める必要があります。内服から1日程度でウイルス量は大きく減少しますが、症状改善にはそれ以上の時間が必要です。ただし、蕁麻疹、軽度の下痢・嘔気・腹痛、血液検査異常などの副作用が稀に見られます。
当院では抗ウイルス薬を希望される方のうち、重症化リスクの高い方にはパキロビットないしラゲブリオを、重症化リスクは乏しいものの症状が重い方などにはゾコーバを処方しています。3種の薬剤の違いについては以下の表を参考にして下さい。
またパキロビットのみ妊婦への使用が認められていますが、当院では妊婦の方に処方するにあたっては産科主治医の同意を必須としています。処方を希望される方は、産科の担当先生から当院へ「パキロビットの処方が必要である旨記載した紹介状」をFAXで送ってもらって下さい。
商品名 (成分名) |
パキロビット (ニルマトレルビル) |
ラゲブリオ (モルヌピラビル) |
ゾコーバ (エンシトレルビル) |
---|---|---|---|
症状改善 | 〇 | 〇 | 〇 |
後遺症の予防 | 〇 | 〇 | 〇 |
周囲への感染防止 | △ | △ | △ |
重症化予防 | ◎ | ○ | △ |
併用禁止薬 | 多数 | 少数 | 多数 |
対象年齢 | 12歳以上 | 18歳以上 | 12歳以上 |
重症化リスクによる 処方制限 |
重症化リスクが高い人のみ | 重症化リスクが高い人のみ | 制限なし |
費用 | 1割負担で9,900円 2割負担で19,800円 3割負担で29,700円 |
1割負担で9,400円 2割負担で18,900円 3割負担で28,300円 |
1割負担で5,200円 2割負担で10,400円 3割負担で15,600円 |
4.隔離期間について
令和5年5月8日から外出自粛要請はなくなり、外出自粛は各自の判断で実施することになりました。しかし急にそのようなことを言われても戸惑ってしまう方が大半と思います。そこで強制力を伴うものではありませんが、国が推奨する外出自粛期間の決め方を以下にお示しします。
ポイントは「発症日をもとにした基準日」と「症状をもとにした基準日」の2つから隔離解除日を決めるというものです。
「発症日をもとにした基準日」は初めて症状が出た日に6日を加えた日付です。例えば1日に最初の症状が出たのなら7日が「発症日をもとにした基準日」になります。
「症状をもとにした基準日」は症状が治まった日に2日を加えた日付です。この場合の症状は基本的には熱と考えて頂ければ大丈夫です。例えば3日に熱が下がったのなら5日が、6日に熱が下がったのなら8日が「症状をもとにした基準日」になります。
この「発症日をもとにした基準日」と「症状をもとにした基準日」のうち、遅い方の日から外出(出席・出勤)可能と考えて下さい。例えば1日に発症して3日に熱が下がったなら7日、1日に発症して6日に熱が下がったのなら8日から外出可能です。
ただし発症から10日間は周囲の人に感染させる可能性が残っていますので、マスクを着用するなど周囲に配慮した行動を心掛けて下さい。
(発症日+5日ごろから感染性は急激に低下しますが、発症日+10日まで感染性が残る人が稀におられます)
- 院長
- 木村 佳人
- 診療内容
- 内科、内視鏡内科、消化器内科
- 住所
- 〒663-8107
兵庫県西宮市瓦林町1-21
KBクリニックビル1F - アクセス
- 西宮北口駅から徒歩15分、甲子園口駅から徒歩13分、瓦木支所前(阪急バス)下車すぐ